IP Network: traceroute
COMMAND
traceroute(tracepath) - ネットワークの経路を調査
DESCRIPTION
traceroute(tracepath)は、あるホストから別のホストまでのネットワーク経路をリスト表示するコマンドです。ここでいう経路とは、ホスト間を接続するルータ(ゲートウェイ)という意味で、経路上にどのようなルータが位置しているかを表示します。
主に、表示される経路情報からホスト自身や経路上のルータのルーティング設定が正しいかどうかを確認するために用いられます。各ルータとのレスポンス時間などの統計値も表示されるので、経路上のボトルネックを探るなど簡易なネットワーク性能評価にも利用できます。
使用方法
最も簡単な使用方法は、引数として経路を調査したいホストのホスト名やIPアドレスを指定します。
$ traceroute ja.wikipedia.org traceroute to ja.wikipedia.org (208.80.152.2), 30 hops max, 60 byte packets 1 192.168.1.1 (192.168.1.1) 0.121 ms 0.134 ms 0.159 ms 2 118.23.8.17 (118.23.8.17) 6.037 ms 6.577 ms 7.064 ms 3 118.23.5.137 (118.23.5.137) 4.971 ms 5.388 ms 5.368 ms 4 122.1.164.213 (122.1.164.213) 7.556 ms 9.341 ms 11.167 ms 5 60.37.55.165 (60.37.55.165) 6.195 ms 6.151 ms 6.154 ms 6 60.37.27.89 (60.37.27.89) 6.470 ms 5.355 ms 5.761 ms 7 ae-5.r21.tokyjp01.jp.bb.gin.ntt.net (129.250.11.53) 5.790 ms 7.090 ms 6.670 ms 8 as-2.r21.snjsca04.us.bb.gin.ntt.net (129.250.4.44) 114.218 ms 113.157 ms 113.279 ms 9 equinixexchange.ir1.sanjose-ca.us.xo.net (206.223.116.85) 122.223 ms 122.167 ms 122.115 ms 10 vb2001.rar3.la-ca.us.xo.net (207.88.13.110) 125.873 ms 132.449 ms 125.843 ms 11 vb15.rar3.dallas-tx.us.xo.net (207.88.12.45) 149.345 ms 149.826 ms 149.540 ms 12 207.88.14.42.ptr.us.xo.net (207.88.14.42) 182.000 ms 182.215 ms 181.906 ms 13 w006.z207088246.xo.cnc.net (207.88.246.6) 187.915 ms 187.107 ms 187.082 ms 14 rr.pmtpa.wikimedia.org (208.80.152.2) 186.903 ms 186.520 ms 186.758 ms $
「ja.wikipedia.org」への経路を表示しています(経路情報は一部マスクしています)。
指定したホストのホスト名とIPアドレスを表示し、最大で30個の経路情報を表示することを示しています。ルータにより、あるサブネットから別のサブネットへパケットがルーティングされることを「ホップ (Hop)」と呼び、この「ルータを1つ越える」単位を1ホップとして数えます。
はじめに番号がある部分が、経路情報の一覧となります。「順番」「ルータのホスト名(IPアドレス)」「各ルータへのレスポンス時間(試行3回分のの結果で単位はミリ秒)」を表示しています。14番目は指定したホスト自身なので、経路上には13台のルータが配置されていることがわかります。
各ルータへのレスポンス時間を元に、極端に時間がかかっているルータ間がボトルネックであることがわかります。
■ ICMP Time Exceeded
調査するホストによっては、次のような結果が得られることもある。
$ traceroute www.apple.com ... 6 * * * 7 * * * ... $
これは、ルータがICMP Time Exceededに対応していないためです。tracerouteはICMP Time Exceededエラーの結果を受け取らないと結果を表示することができません。この例では、6,7番目のルータからエラーが返らず、tracerouteコマンドがタイムアウトしたためこのような表示になっていると考えられます。また、ルータによってはセキュリティ上の要件からICMPパケットをフィルタしている場合もあります。